八重咲きの白い姫椿の枝に結ばれた文を開き、李真朱はお茶の準備にとりかかった。
 文の内容は時候の挨拶から始まって韻まで踏んだ美辞麗句が並ぶ実に風流な代物だが、内容自体にたいした意味はない。ぶっちゃけ白紙でもいいくらいなのだがそこで手を抜いたりしないのが贈り主の人柄………と言うことにしておく。電報のような用件のみの短文でも良いのではないかと毎度言うのだが、その点に関して何か思うところがあるらしく、絶対に手を抜かないのだ。誉めても何もでない上に微妙に嬉しくないぞとこれも毎度言っているのだが馬耳東風だ。
 茶菓子には先日秀麗の快気祝いに作ったマフィンが残っているからそれを流用。自分のお茶は茶でなくコーヒー。黒豆を深炒りしたノンカフェイン飲料だ。戦後の物資不足にコーヒー党の祖父が飲んだという代用コーヒーの昔話がこんなところで実用されていますありがとうおじいちゃん。なんだか豆臭いフレーバーがあるが、自己暗示をかければぶるーまうんてんだと思うことが出来なくもないこともないこともない? これはぶるーまうんてん。別にきりまんじぇろでもこすたりかでも何でも構わないのだが―――少し荒む。原材料が黒豆だけになにげに身体に良いらしい。身体に悪くていいからカフェインを摂取したい真朱にとっては代用はあくまで代用だ。あー超絶ブラックが飲みたい。
 ちなみにこの代用コーヒー、兄には"焦げキナコ茶"と呼ばれている。わざと焦がしたんだ大豆炒るのに失敗したキナコじゃねぇっつーの。ミルなんぞあるわけないので石臼で豆をひく。キナコ呼ばわりされる所以はここにある。

 李真朱の後宮の個室は意外に思うなかれ、冬にも花に溢れ、心落ち着く柔らかな香が焚かれ、寝台の天蓋は薄紅が基調とされ白い薄絹が緩やかに波打つ、春めかしい優しい色合いの実に少女らしい部屋だ。
 本人が何を思って自らの巣をこのように整えたのか、彼女は黙して語らない。
 室だけをみれば、立派にオンナノコしている。
 所用に訪れた主上が目を見開き、「想像とぜんぜん違う室だ……」と呆然と呟いたときも、真朱は無言のままデコピンをお見舞いしただけだった。
 卓に茶菓子を広げ、文を外した姫椿を花瓶に活ける。
 頃合を計ったかのように、扉が叩かれた。

「いらっしゃい」
「やぁ。お邪魔するよ」

 訪れたのは藍楸瑛。今の所本来の主よりも主らしい後宮の主である。
 月に数度、こういう日がある。別段秘密にしているわけでもないのに誰も気づかないので結果的に秘密になっているというちょっぴりマヌケな楸瑛と真朱のお茶会だ。
 季節の花に結び文。その日の午後。

 ―――昼日中の、健全なお茶会ですよ?

「うちの庭院の梅が満開でね。少し貰ってくれるかな?」
「どもっす」
 早咲きの梅を受け取る答えに色気はないが、音声を無視すれば、男が花を携えて訪問し、少女もそれを全く拒んでいないという図だ。卓には来客を歓迎するお茶の湯気が立ち昇り、珍しい茶菓子が用意してある。
「少し顔色が良くないね」
「……そーですかね。自分じゃちょっと……」
 小柄な少女に視線を合わせるためにかがむ楸瑛に、自らの頬を押さえ真朱は首を傾げる。というか化粧の上から何故わかる。しかし部屋に楸瑛を招きいれる手の仕草もどこか緩慢としており、そんな傷のある腕をじっと見つめた。
「いや………ちょっと、ダルイ、かもしれませんね」
「大丈夫かい?」
「風邪じゃありません……大丈夫です。藍将軍に風邪を伝染したなんて言ったら、女官の方々に何を言われるものかわかったもんじゃない」
「真朱殿に風邪を伝染されたと言ったら、わたしは絳攸に何をされるかわかったもんじゃないよ」
 揃って吹き出した。
 ―――ある種の、予感があった。
 だから楸瑛は真朱の室を訪れ、真朱はあえて、それを拒まなかった。
 この室を去る日も近い。あと何度、こうしたお茶会を開けるかわからない―――そんな感傷めいた思いは微塵もなかったが。
 迷惑をかけると知りつつ、甘えることにした。
 久々すぎて、一人だと―――自信がない。


「うまくやっているようだね。正直、君が後宮で暮らせるものなのかと心配だったんだけど」
 椅子に付き、楸瑛は差し出されたお茶を一口飲んだ。それはいつもの紅茶だった。
 此処でしかまず飲めない珍しいお茶と、やはり珍しい茶菓子は楽しみの一つだ。
「はっはー。俺も自分の適応能力に唖然デスヨ…………つーか、後宮って割となんでも筒抜けですから。逆に、俺ぁ安全牌ってことですんなり過ごせました」
 こちらは代用コーヒーをすすり、ぶるーまうんてんぶるーまうんてんと自己暗示をかけつつ応える。
 語り口はすでに過去形が用いられており、楸瑛はしんなりと眉をひそめる。
「―――父は紅黎深、兄は李侍郎、主上付き、ときおり藍将軍が茶を飲みにやって来る女官ですよ俺。生きてるのがちょっと不思議ー」
 巨神兵のビームみたいな嫉妬の炎で火の七日間戦争勃発、骨まで焼き尽くされそうなものだが、李真朱は後宮において、安全牌である。もしくはアウトオブ眼中。
「………でも、もう駄目みたいですね」
「真朱殿……」
 惜しむでもなく、真朱は与えられた自らの室を見渡した。我ながらむかつくほどリリカルな乙女部屋だ。
「ドミトリー効果ってのをご存知ですか? 藍将軍」
 下腹部が、痛む。
「どみとり? いや。不勉強でね」
「ご謙遜を。寄宿舎効果と呼ばれる現象なんですけどね……同じ部屋に寝起きする女性たちの周期が同じになる、ってやつです」



 何を、とは言わなかった。



「原因は体臭じゃないかって言われてますね。証明する実験もあって、一人の女性の汗を脱脂綿にとって、酒精で薄めて鼻の下に塗ると、被験者の女性たちの周期が、最初の女性のものに近づくといった結果が出たそうです」
 かちゃり、かちゃりと、茶器が鳴った。
 断続的な生活音だったそれが、かたかたと連続する。コーヒーを零しそうになり、真朱は茶器を卓に戻した。
 震える指を握りこんで隠す。無駄と知りつつ。
「……昔……よく、女の子が言ってたんですよ、アレは伝染るって……話半分で……むしろ全然信じていなかったんだけど……こうやって、証明されるの、やだなぁ……」
「真……っ」
「後宮に入って、そろそろ一年です、持ったほうだと思いません? もともと、不規則だったけど……っ」





 どろりと下腹部が波打って、長いまつげに覆われた瞳から、涙が滴った。





「―――そうやって! 一人で泣くと思ったんだっ!!」
 茶器をひっくりかえすのも厭わず、卓を越えて楸瑛が真朱を抱きしめた。
「いつ」
「たった今」
 臨場感溢れすぎる応えに楸瑛は空を仰ぐ。
「誰か、人を呼ぼう」
「やだ」
「私のほうが嫌だろう? や、頼られてもこればかりは私もね」
「そらーそうだ」
「友達……なんていそうにないね」
「どういう意味だ」
「珠翠を呼ぶよ」
 才色兼備の有能な女官長の名に、真朱は見開き涙を零す瞳をそのままに、眉だけをぎゅっと顰めた。
「…………やだ」
「真朱」
 包み込まれてたしなめる声に、自制が決壊する。





「やだ、いやだ、絶対嫌だ、もういやだ、いたい、痛ぃっ―――気持ち悪……いっ―――」





「真朱っ!!」
 両眼の焦点は合わず虚ろ、嫌悪をむき出しにして今にも舌を噛み切りそうだ。
 予想はしていたが、予想以上の拒絶反応に、楸瑛は名を繰り返すことしか出来ない。人を呼ぶにも半狂乱の真朱を置いていくのは躊躇われる。
 一人にすると、何をするかわかったものじゃない。

「―――失礼」
「っ!?」


 あっという間に細い頤を攫うと、そのまま覆いかぶさるように唇を重ねた。
 がちがちに閉ざされた歯列をなぞりこじ開けて口腔を侵す。


「もが〜〜〜〜〜っっ!!」
 少女の抗議の腕を胸に受け、楸瑛は顔を離す。
「落ち着いた?」
「ムカついた!」
「そう、その調子だ、もっと血圧を上げて」
「は、はは……チクショウ覚えてろ」
 焦点のぶれていた両眼に、わずかに理性が戻っている。憎まれ口を叩けるのなら、まだ大丈夫だ。
 今のうちだ。
 楸瑛は真朱を抱き上げると、室を飛び出した。





「珠翠―――珠翠っ!!」
「ボウフ―――藍将軍!?」
 粗末な盆に載せた大ぶりの団子を運んでいた珠翠は、回廊を矢のように飛んできた宿敵に目を見開く。
 その腕に抱えられている少女を目撃し、珠翠はあやうくその盆を投げつけるところだった―――食用には大きすぎるその団子、ホウ酸団子だったりする。
「あ、あああああ貴方と言う方はっ!! 後宮の最後の砦、真朱殿までその毒牙にかけるというのですかっ!?」
 本人のあずかり知らぬところで、真朱は後宮における対藍楸瑛最後の砦にされていたらしい。
 こんな状況でなければ、楸瑛も真朱も―――笑えただろうが。
「珠翠、彼女を頼む!」
「え?」
 常にない緊張した面持ちの楸瑛と、寒さ以外の理由でがたがた震える少女の尋常でない様子に、珠翠は一瞬混乱し、しかしすぐさま有能な女官の顔に戻る。
「真朱殿―――真朱殿!? 藍将軍、一体何が!?」
「…………、月のものだ」
 さすがにしばし言いよどんだが、楸瑛は小声ながらもきっぱりと告げた。
 珠翠はすぐさま顔色を変えた。何か、聞き及んでいるのかもしれない。団子を載せた盆を回廊の隅に置くと、裾を捌いて踵を返した。
「わたくしの室へっ!!」
 少女は声もなく、涙を流すばかりだった。






「…………眠らせました」
 真朱にしかるべき処置を施した後、珠翠は一瞬迷ってから、室の外で沙汰を待っていた楸瑛を自室に招きいれ、開口一番にそう報告した。
「………そうするしか、ないだろうね」
 どこか物憂げに頷く楸瑛は、珠翠の鼻につく普段の軽薄とも言える言動のなりを潜めている。いつもこうであれば、ボウフラなどと呼ばないものを。
 否、こちらの方が素顔に見える。藍楸瑛、やはり侮れない―――否、否。騙されるなこいつは害虫。珠翠は心の中で呟く。
「えぇ。いつもそうしていると言っていました。意識があるほうが危険だから、終わるまで、薬でひたすら眠り続けると」
 あまりにも不健康な方法に、楸瑛と珠翠は揃って眉を顰めた。
「一応、礼を申しておきますわ。後宮に湧いて出る害虫としか思っていませんでしたが、何処にでも湧いて出るだけに、役に立つこともあるんですのね」
「―――礼?」
 それのドコが。
 楸瑛は苦笑を漏らしたが、言葉は棘だらけなものの、珠翠はお茶のしみがついた楸瑛の上着を剥ぎ取り染み抜きにいそしみ、その間追い出すこともなく、暖かい花茶を出してくれた。破格の待遇だ。
「よくまぁこんな丁度よろしく真朱殿を訪ねてくださいましたわ」
「……あぁ。彼女は"寄宿舎効果"と言っていたね」
「―――? なんです、それは」
 もっともな疑問に、楸瑛は少女の言葉を思い出す。
「なんでも、同じ部屋で暮らす女性たちは時期が重なる傾向があるっていう話だったかな。それを確かめる実験もあって、原因は体臭ではないか、とか」
 聡明な珠翠はそれで全てを理解した。
 俗説めいているが、女であれば思い当たる節は必ずある。

 "生理は伝染る"―――なんて。

 同じところに暮らし、生活習慣が似かようから、自然とそうなるのかと珠翠は考えていたが、その原因がにおいだとはさすがに思いも依らなかった。
 相変わらず、李真朱は妙なところで妙なことばかり知っている。
「………確かに、そのような傾向は見受けられますね。つまり、他の女官たちが揃って受け入れ不備だったので、暇をもてあました貴方は真朱殿ところを折りよく訪れていたと」
 珠翠は憎まれ口を叩いたが、こればかりは純粋に、少女の身を案じた結果だろうと不本意ながら認めた。
 今日ばかりは、この男がなにゆえ後宮の女官たちの周期まで熟知しているのかわかりきった答えであるがあえて触れず不問にする。今日ばかりは。
 その寄宿舎効果とやらを話して聞かせた真朱自身も、楸瑛の気遣いを察していたに違いない。
「まぁ結局、君に頼ることになったけどね」
「当然です!!」
 珠翠は思わず絶叫した。
 そもそも女官長である自分を頼る前に、その場にいたとはいえ楸瑛を先に頼った真朱もどうかと思う。
 李真朱は優秀な女官だ。そして珠翠は女官長なのだ。事前にそれとなく匂わすだけでなく、真正面から頼られても全然構わなかったのに。
 珠翠が事前に少女から聞かされていたのはただ一言、「女の自分を認められない。そのときが来たら恐らく迷惑をかける」―――ただ、それだけだった。
 なぜ、どうして。
 そんな質問を一切受け付けない言葉だったが、逆にすとんと納得した部分も多々あったのも事実だ。例えば主上との関係。真朱は珠翠とともに主上付きだったが男女の仲など邪推にしかならないという悪戯小僧が二人でじゃれているいるような光景は、微笑ましくも奇妙だった。率直に言えば、兄貴風を吹かせたガキ大将と、世間知らずのお坊ちゃまが一緒に遊んでいるように見えた。比喩でなく、見た目そのままの光景だと解かると、どこか安心するとともに、それでいいのか二人とも……! と珠翠は軽い頭痛を覚えたものだが。
「………立場の割りに殺風景な室だね」
「どういう意味ですっ!?」
 珠翠の室を物珍しそうに見渡していた楸瑛の感想に、珠翠は条件反射で噛み付いた。
 確かに、女官長という妃賓不在の後宮の頂点にありながら、珠翠の室は広く、質のいい調度品を配しつつも、それらは体面を保つ必要最低限でしかない。七家筆頭藍家直系から見れば、物足りなく映るかもしれないが何様だこの男。暗殺者として育てられた珠翠は基本的に機能重視で、綺羅めかしい宝飾品や機能性を度外視した装飾の施された調度品にはあまり魅力を感じない。
「あぁ、いや。君に含むところがあるわけじゃなくてね」
「だったらなんだと言うのですっ」
「凛として有能な貴女らしい室だと思うよ。合理的なのに、どこかあたたかい、居心地のいい場所だ。室にはその人の人柄が映るのなら……」
「―――真朱殿の室ですか」
「そう」
 察しのいい球翠に楸瑛は少しだけ唇を持ち上げた。
 少女らしい、あまりにも少女らしい、夢見る深窓の姫のような室だ。少女の素顔を知るものならまず度肝を抜かれる。その口ぶりから、楸瑛と珠翠もその例に漏れないと知る。
 楸瑛が思い出すのは、夏の少女の助言だ。
「男らしさ、女らしさは、社会がそれぞれに求める役割の尺度だと彼女はかつて言っていたけど、本当にそれだけだと思うかい?」
 考えさせられる。あの部屋はある種の提言だ。
 それだけであるのなら、一般的に求められる役割から全身全霊真っ向逆走全力逃亡実行中の李真朱が、一番くつろげる空間をあのように間尺に合わないものに整えるだろうか。
「それだけではないところが、彼女にとって辛いところなのでしょう」
 珠翠は知っている。
 寒がりの少女が、いじましくも視覚からさえ暖を得ようと柔らかな暖色を用いているのを。
 室で育てられている草花はどれも薬理効果のある薬草の部類で観賞用ではない。焚かれる香は鎮静効果のあるもので好みは二の次だ。
 体調を厳密に管理し、ただ一点にのみ不安定な精神を少しでも助けるために整えたのだろう室は、蓋を開けてみれば典型的な少女趣味の代物となったと思われる。そうとしか思えない。
 合理的に、機能を重視した結果、あのような室になった。求められる役割と、求めた結果の役割を、厳然と見せ付ける。
「一年近く、彼女はあそこで暮らしながら、何を思ったのかな」
 隣の室で眠る少女は何も語らない。正面から訪ねたところで煙に巻くだろう。
 柔らかい薄絹を纏うのも、柔らかい布の沓を履くのも、身体が女であればこそで、心と身体は決して切り離せず、生きていくために、少女は羅衣を纏う。



 好む好まざるを問わず。



「真朱殿を頼むよ、珠翠」
 恐らく、今まで真朱は初潮のまだ訪れていない子供だと思われていたはずだ。
 安全牌―――例え主上付きの女官で、傍目には彼女が王の寵愛を受けているように見受けられても、彼女が子を為す可能性が零であるからこそ目溢しをされていた。
 さすがの楸瑛もあの状況で内密に処理をすることなど出来なかった。真朱を抱えて回廊を爆走して珠翠を頼った。すでに一人残らず女官たちの知るところだろう。
 後宮が変動する。
「あなたに言われるまでもございませんっ!! わたくしは女官長なのですよ!? 大体っ!! あなた真朱殿のなんなのですっ!?」
「ははは。ちょっとしっくりくる言葉がないね」
 絳攸の妹だ。楸瑛の妹ではない。それは嘘をついたことになるが、他にはなんとも言いようがない。
 恋愛対象………否、斜め上をすっぽ抜けている気がする。庇護対象………彼女はそんなに弱くない。たとえ一人で泣き濡れても。彼女の兄は、そこのところに神経質になりすぎて、少女を庇護対称にしてしまい、あの兄妹を"兄妹"の枠で強固に縛ってしまった。それさえなければ、どのような形でも、違う関係が目の前にあっただろうに。
 友人―――これが一番近くて、一番遠い。
 いつだって、どうとでも転べる白線上で背中合わせに立っているようなものだ。どちらかが時折振り向いて、会話を楽しむ。
「とりあえず―――彼女が一人で泣くのは見たくないんだよ。それだけじゃ不足かい?」
「不満です!」
 どれだけ真意を探ろうと、真摯でしかない言葉などこの男の口からだけは聞きたくなかったと珠翠は思う。
 うかうかとホウ酸団子も仕掛けられないではないか。罠にかかるような可愛げなど絶無なくせに―――害虫のくせにっ。
 不足ではなく不満なのは、実に忌憚のない珠翠の胸の内だった。





 何故か焦がれるほどに、雪解けを待ち遠しく思った。







(どうしているのかと思えば、一年近く止まっていただけという話。もともと順調ではなく、来たら来たで超大騒ぎ迷惑な子。つか楸瑛さん色々詳しすぎるから!)





モドル ▽   △ ツギ





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